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2011 年度 実績報告書

概年性の転写因子による哺乳動物の冬眠の発現制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22580107
研究機関北里大学

研究代表者

高松 信彦  北里大学, 理学部, 教授 (40206876)

研究分担者 小寺 義男  北里大学, 理学部, 准教授 (60265733)
キーワード冬眠 / 転写制御 / 概念リズム / 転写因子 / プロテオーム / 肝臓
研究概要

冬眠哺乳動物シマリスの冬眠は内因性の概年リズムによって遺伝子レベルで制御されていると考えられているが,概年性の冬眠の発現制御機構はまだ明らかになっていない。申請者は,冬眠と同期した発現を示す遺伝子の発現制御機構の解析などから,「冬眠動物では,脳の『冬眠中枢』から発信されるシグナルによって活性が制御される『概年性の転写因子』が肝臓などの末梢組織に存在することにより,全身において,冬眠の発現に関わる遺伝子の発現が統合的に制御され,冬眠を行っている」というモデルを考えている。本研究では,この概年性の発現制御モデルを検証することにより,冬眠の発現の分子機構を解明していく計画である。
(1)シマリス肝臓において,転写因子HSF-1のタンパク質量は冬眠に伴って変動している(冬眠時に著しく減少する)が,シマリス(非冬眠個体)の初代肝細胞においてsiRNAを用いてHSF-1をノックダウンしたところ,HSP70遺伝子プロモーター領域へのHSF-1の結合が減少し,HSP70 mRNAが減少したこと。これらの結果から,HSF-1は概年性の転写因子として,HSP70遺伝子の冬眠に伴う転写を制御していると考えられた。[投稿準備中]
(2)シマリス肝臓における遺伝子の発現変動をヒトのDNAチップを用いて解析したところ,転写因子HNF-3γのmRNA量が冬眠時に減少していると考えられた。ノーザンおよびウエスタン解析で確認したところ,シマリス肝臓においてHNF-3γのmRNA量およびタンパク質量が冬眠時に減少しており,冬眠において概年性の転写因子として機能している可能性が考えられた。
(3)シマリス肝臓の核タンパク質のプロテオーム解析により冬眠時にeEF1Aが消失していることが明らかになった。eEF1Aは熱ショック時のHSF-1の活性化に関与しており,非冬眠時のシマリス肝臓におけるHSF-1の活性化に関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで哺乳動物の冬眠における概年性の遺伝子発現制御機構については何も明らかになっていなかったが,本研究により,シマリス肝臓においてHSF-1が概年性の転写因子として,HSP70遺伝子の冬眠に伴う転写を制御していることが明らかになった。さらに,HNF-3γも冬眠において概年性の転写因子として機能している可能性を示唆する結果を得た。

今後の研究の推進方策

哺乳動物の冬眠における概年性の遺伝子発現制御機構を明らかにしていくため,(1)概年性転写因子HSF-1とHNF-3γの冬眠に伴う発現制御機構,(2)HSF-1とHNF-3γの標的遺伝子の探索および標的遺伝子の転写制御機構について解析する。
(1-1)HSF-1は冬眠に伴い転写後レベルで発現制御を受けているので,HSF-1と複合体を形成するタンパク質のプロテオーム解析を行い,HSF-1の活性化および分解の制御機構を解明する。
(1-2)HNF-3γは冬眠に伴い転写レベルで発現制御を受けているので,遺伝子クローンを単離し,転写制御機構について解析する。
(2)ルシフェラーゼ解析などから,冬眠特異的遺伝子HP-25はHSF-1の標的遺伝子である可能性が考えられるので,HSF-1によるHP-25遺伝子の冬眠に伴う転写制御について解析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Hibernation-associated transcriptional regulation of the chipmunk HP-25 gene2011

    • 著者名/発表者名
      菅井玲, 他4名
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-15

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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