枝分かれが増加していると思われるchestnut変異株の解析のため、その原因遺伝子の解析とその変異の発現メカニズムの解析を進めた。 1・ MYB30遺伝子高発現株の解析 chestnut変異の詳細なマッピングの結果から、原因遺伝子としてはMYB30遺伝子しか想定できない結果を得ていた。しかし、chestnutに於けるアクティベーション型MYB30遺伝子構造と同様な遺伝子を構築し、その形質転換体を作成してもchestnutと同じような表現型を示すラインは得られなかった。そこで、35Sエンハンサー下流にMYB30のcDNAを連結した融合遺伝子を持つ形質転換植物体の作製を行った。形質転換体第一世代では明白な変異型を示すラインは得られなかったが、その自殖後代において130の独立ラインのうち、9ラインにおいて生育遅延、3ラインにおいて面chestnutと同様な形態異常が見られた。MYB30遺伝子自体に転写後調節が存在する可能性と、過剰発現体が致死となる可能性が考えられる。 2・chestnut変異と極長鎖脂肪酸合成系との関わり chestnut変異株は、極長鎖脂肪酸合成系について過剰発現が起こっていると考えられるので、葉のクチクラの成分に影響が出ている可能性を考え、chestnut変異株が乾燥に対して感受性がどのようになっているかを調べた。その結果、断水20日ほどで野生型株植物体は枯死しているのに対し、chestnut変異株はほとんど生育に影響が見られなかった。
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