研究課題
日本の南西諸島に棲息する毒蛇のハブの毒腺は、多種多様な生理活性成分を毒腺組織特異的に産生するが、その発現機構については、全く解明されていない。通常、組織特異的発現は、転写の過程で調節されるため、本研究では、毒腺組織の転写調節機構を明らかとすることを目的とした。毒腺組織特異的な転写因子が存在し、それが毒成分遺伝子の転写を制御すると仮定し、その因子の探索、同定を行うこととした。当初、毒腺細胞抽出液より、転写因子を精製することを考え予備実験を行ったが、困難であったため、毒腺のトランスクリプトーム(網羅的)解析を行った。毒腺組織特異的転写因子の発現は、毒腺より毒が搾取された時に開始されると考え、毒搾取後の毒腺を用いて完全長cDNAライブラリー構築を構築した。約1万5千コの配列を解読し、それらについて、詳細にバイオインフォーマティクスを行った。転写因子の候補クローンとしてepithelium-specific Ets factorに属するESEサブファミリー遺伝子を数個ずつ見いだした。それらのうち、特に、唾液腺特異的な転写の活性化に関与すると期待されるESE-3ホモログに注目することとした(毒腺は唾液腺が進化したものと考えられているため)。ESE-3ホモログ全長のcDNAを取得し、配列を解読した。このハブ毒腺のESE-3の立体構造解析を行うため、大腸菌での発現を試みている。また、毒成分遺伝子のプロモーター配列との結合及び転写の活性化に関する解析を進行中である。
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巻: (In press)
巻: 75 ページ: 480-488
Gene
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