研究概要 |
イエバエのγ-アミノ酪酸(GABA)レセプターサブユニット遺伝子と抑制性グルタミン酸レセプターサブユニット遺伝子はすでに我々がクローニングして報告しているが、これまでスプライスバリアントやRNA編集については着目しなかった。両レセプターサブユニットに数種のバリアントの存在が推察され、これがレセプター機能や薬理学的特性を複雑にすることが推察される。GABAレセプターサブユニットのエクソン3(a,b)と6(c,d)にそれぞれ2種のバリアントが存在するので、来年度以降の解析のためにそれらの組み合わせによるacとbdタイプのサブユニットをクローニングした。また、グルタミン酸レセプターにもエクソン3に3種のバリアントが存在することを明らかにし、それらをクローニングした。さらに、グルタミン酸にレセプターでは4カ所のRNA編集部位の存在も明らかにした。 定量PCRにより、イエバエの発育段階(卵、幼虫、蛹、成虫)とオス成虫組織における両レセプターサブユニットmRNAの発現解析を行った。その結果、両遺伝子は成虫頭部で顕著に高い発現を示すことを解明した。次いで、両レセプターに特異的に結合する放射性標識[^3H]EBOBと[^3H]ミルベマイシンの結合を調べたところ、結合量とmRNA発現レベルとの間に相関が見られた。 免疫組織化学解析を行うための両レセプターのC末端ペプチドに対する抗体を作製した。グルタミン酸レセプター抗体は、イエバエ頭部膜画分のレセプターサブユニットに相当するタンパク質を認識した。免疫組織化学実験では、グルタミン酸レセプター様免疫反応性は視覚葉において、GABAレセプター様免疫反応性はキノコ体等の中枢神経系に見られ、両レセプターの局在の違いが認められた。次年度以降、詳細な免疫組織化学解析を行う。
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