研究課題/領域番号 |
22580123
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
石嶌 純男 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70184520)
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キーワード | マグネシウムイオン / 膜輸送タンパク質 / 葉緑体 / リポソーム / シロイヌナズナ |
研究概要 |
シロイヌナズナArabidopsis thaliana由来のCorAファミリータンパク質AtMRS2-1、10および11を大腸菌で発現、精製し、以下の解析を行った。 1 AtMRS2-10のキャラクタリゼーション AtMRS2-10を組み込んだプロテオリポソーム内のMg^<2+>含量を、原子吸光分析法を用いて測定した。AtMRS2-10は、外液Mg^<2+>濃度に依存してリボソーム内にMg^<2+>を取り込んだが、その取り込みは、pH5-9の範囲では外液のpHに依存しなかった。Mg^<2+>の取り込みは、外液のCo^<2+>、Ni^<2+>、Al^<3+>によって阻害され、AtMRS2-10は、これらの金属イオンを輸送する可能性が示唆された。 2 AtMRS2-10部位特異的変異体の機能解析 CorAファミリータンパク質に保存されている共通配列GMNモチーフのMet残基をIle残基に置換したM400I置換体では、Mg^<2+>の取り込み活性は、大きく減少し、AtMRS2-10における本Met残基の重要性が示された。 3 AtMRS2-1及び11 recombinant proteinの調整とMg^<2+>輸送能解析 シロイヌナズナのCorAファミリータンパク質であり、AtMRS2-10と相同性が高い(89%)AtMRS2-1、および、AtMRS2-10と相同性が低い(19%)AtMRS2-11を、それぞれ大腸菌で発現し精製した。プロテオリポソームに組み込み、蛍光指示薬mag-fura-2によるMg^<2+>輸送活性測定系を確立した。今後、AtMRS2-10との輸送活性の違いを明らかにしていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナの3つのCorAファミリータンパク質AtMRS2-1、10および11について、交付申請書に記載した通り、最も研究が進展しているAtMRS2-10は、部位特異的変異体の機能解析まですすみ、AtMRS2-1および11は、Mg^<2+>輸送活性測定系を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズナにおいて、主なMg^<2+>輸送タンパク質としてはたらいている、と考えられる3つのCorAファミリータンパク質AtMRS2-1、10および11について、当初目的に従って、分子機能解析をすすめていく。解析法として、これまで用いてきた原子吸光分析法に加え、蛍光指示薬mag-fura-2によるMg^<2+>輸送活性測定を行い、3つの膜輸送タンパク質の金属イオン輸送活性の違いに加えて、輸送活性の時間的な違いについても解析している計画である。
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