シロイヌナズナ由来のCorA ファミリータンパク質 AtMRS2-1、10および11を大腸菌で発現、精製し、以下の解析を行った。 1 AtMRS2-10 のキャラクタリゼーション: AtMRS2-10 をリポソームに再構成した。AtMRS2-10 を組み込んだプロテオリポソーム外液に Mg2+を添加し、リポソーム内の Mg2+含量を、蛍光指示薬を用いて測定した。AtMRS2-10 は、外液 Mg2+ 濃度に依存してリポソーム内にMg2+を取り込んだ。輸送反応は、外液 にMg2+ を添加後停止したが、さらにMg2+を加えると再び輸送反応が起こり、リポソーム内部のMg2+濃度は、階段状に上昇した。一方、Co2+の輸送が観察され、AtMRS2-10 は、比較的幅広い陽イオン輸送タンパク質である可能性が示された。 2 AtMRS2-10 部位特異的変異体の機能解析: CorA ファミリータンパク質に保存されている共通配列 GMN モチーフの Met残基を置換した M400I 置換体では、Mg2+の取り込み速度、および輸送反応が停止するMg2+レベルともに大きく減少し、AtMRS2-10 における 本Met残基の重要性が示された。 3 AtMRS2-1 及び 11のMg2+輸送能解析: AtMRS2-10 と相同性が高い(89%)AtMRS2-1、および、相同性が低い(19%)AtMRS2-11 を、それぞれ大腸菌で発現、精製し、Mg2+輸送活性を測定した。共に、単独でリポソーム内部にMg2+を輸送することが示され、AtMRS2-10 と同様な時間経過を示した。Mg2+ 添加後リポソームの外液中にCo2+あるいはAl3+をあらかじめ添加しておくと、リポソーム内部へのMg2+輸送は阻害され、AtMRS2 ファミリータンパク質は、これらの金属イオンを輸送する可能性が示唆された
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