研究課題/領域番号 |
22580129
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 宜督 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60324381)
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研究分担者 |
加藤 陽二 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (30305693)
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キーワード | ポリフェノール / ケルセチン / 生体内代謝物 / 分子標的 / DOPAC / クリックケミストリー / ビオチンラベル化 |
研究概要 |
前年度に引き続き、新規生理活性評価系の構築とケルセチン配糖体の代謝過程におけるDOPAC生成の生理的意義付けを試みた。生理活性の評価は肝細胞における第2相薬物代謝酵素遺伝子の発現誘導作用を対象に行い、分子生物学的、生化学的手法を用いて、DOPACとその他のケルセチン代謝物との活性の差異を比較した。さらに、DOPACに親和性を示すタンパク質の同定を目的として、生化学的に汎用性の高いClick Chemistry (Huisgen環化反応)を利用したDOPACプローブを合成し、その有用性を評価した。 得られた主な成果は、1)活性酸素種や求電子剤によるアポトーシス誘導作用の評価実験法を導入するとともに、アポトーシス誘導の分子機構を一部解明し、glutathioneやc-Jun-N-terminal kinase、interferon-γなど、ポリフェノール類にも想定される標的候補分子を明らかにした。2)DOPACはケルセチン代謝物の中で最も強力な第2相薬物代謝酵素誘導作用を示し、ケルセチン配糖体の生理機能を担う代謝物であることを示唆した。3)酸触媒を用いたFischerエステル化法により、末端にアルキン基を有するDOPACプロパルギルエステル(DPE)の合成に成功し、Huisgen環化反応への応用はドラーゲンドルフ試薬による定性反応にて、タンパク質修飾作用はモデルタンパク質glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenaseの遊離SH基量の減少とDPE修飾タンパク質のビオチンラベル化により証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の交付申請書に記載した計画のうち、1)DOPACの生理活性の評価、2)DOPAC-alkyne(DPE)の合成、の2点について、予定通り進行した。特に、DPEの大量調製とその有効性の評価が概ね完了したため、最終年度は、DOPAC標的タンパク質の動的解析と探索に集中して、研究遂行できるものと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点について、特記すべき事柄はない。
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