研究課題/領域番号 |
22580133
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田村 啓敏 香川大学, 農学部, 教授 (00188442)
|
キーワード | 抗発がんプロモーター活性 / コリアンダー精油 / カニュレーション / 肺吸収 / 2-alkenal / 血液代謝試験 |
研究概要 |
本研究は、コリアンダーに含まれる揮発性香気成分成分の機能探索のための基礎研究である。昨年度までにコリアンダー全草の精油を得て、香気を特徴づける成分である2-aldkenal類に抗発ガンプロモーター活性があることを明らかにした。これにより従来から知られるコリアンダーの匂い特性に由来する食材の嗜好性に加え、Raji細胞のプロモーター物質による細胞変形の抑制や細胞の培養フラスコへの付着性の阻害など、抗発ガンプロモーター活性に関連する活性が確認された。特に、単離、構造解析の結果、2-dodecenalと2-tridecenalなど炭素鎖の長い2-alkenal類に高い機能活性が見出された。 今年度の成果は、抗発ガン活性や抗発ガンプロモーター活性と関連づけるため、PKC活性の測定法を確立する実験を行った。また、ラットを用い、冠静脈こ細管を通し、ラットを生したまま、2-dodecenalの体内での動態をGC分析により解明した,2-dodecenalのように脂溶性の部物質が血液中で一定時間存在し、血液、血漿から約33%回収できることを明らかにした。次に薬物投与によく使われる静脈カヌレーションを行った。導入した2-dodecenalは血清には少なく、ほとんどが血球に付着して血液中を周り、30秒ほどでラット体内を循環していることがわかった、また、カニュレーションにより導入した2-dodenalは、肺を通じ、呼気から排出されることが、呼気ガスの回収実験から明らがこなった。 最終年度には、2-dodecenalが、抗発ガンプロモーター浩性を有することをPKC阻害活性から証明し、食餌から直接肺を通じた血液への吸収並びに血液中の代謝についても考察を行いたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに知られていないコリアンダー香気の解析を数値解析により実施し、その香気成分の代表的な成分である2-dodecenalを使い、ラットによる動物試験にて、血中での回収率、血中から肺への移行量を定量できた。抗発ガンプロモーター活性の証明はできていないが、プロモーターによる細胞の変形と付着性の性質を押さえることが分かった.
|
今後の研究の推進方策 |
抗発ガンプロモーター活性を2-dodecenalが示すことをPKC阻害試験で測定できる系を2011年度は確立できたので、今後2-dodecenalによるnPKC阻害活性があることを証明した。また、チェンバーにラットを入れ、生きたままコリアンダー精油を嗅がせ、カニュレーションした血管から2-dodecenalなどを検出し、体内移行を証明し、血中の代謝物の分析も行い、体内での機能性発現の物質的な証拠を得たい。
|