研究課題/領域番号 |
22580137
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井倉 則之 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30260722)
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キーワード | 静水圧 / ゲル / 物性 / フレーバーリリース |
研究概要 |
加圧ゲルは加熱ゲルとは異なる物性、構造及びフレーバーリリースを有しているが、これらの性質はその含有成分によって大きく変化する。そこで、複数の成分からなる加圧ゲルを作製し、その物性、構造及びフレーバーリリースが加熱ゲルとどの様に異なるのかを検討した。平成23年度は香気成分および多糖類が加圧ゲルの物性および微細構造に及ぼす影響について明らかにした。ゲルの主要構成成分としてオボアルブミン(15%水溶液)を用い、香気成分には異なる官能基及び炭素鎖を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、エステルおよびテルペン類を、多糖類にはガラクトマンナンおよびキサンタンガムを用いた。600MPa、7分間の高圧処理により得られたゲルのかたさ、凝集性及び付着性を研究室所有のレオメーターを用いて測定した。また、15%オボアルブミンのみの加圧ゲルと同等のかたさを有する加熱ゲル(70℃、10分間)を作成し、かたさ以外の物性ならびに構造を比較検討した。 その結果、香気成分を単独添加しても加熱ゲルでは大きな変化は認められなかったのに対して、加圧ゲルではかたさの増加が認められ、その程度は香気成分の種類により異なっていた。この時の微細構造をSEMにより観察したところ、大きな差は認められなかった。より詳細な検討が必要だと考えられる。 多糖を添加したところ、添加濃度0.1%までは大きな変化は認められなかったが、0.15%の添加で加圧ゲルのかたさ、付着性の増加が認められた。この時のSEM観察で未添加と比較して微細構造が変化しており、添加する多糖の種類によりその構造が異なることが明らかになった。構造変化が物性に影響を与えていると考えられた。また、香気成分と多糖を組み合わせて添加したところ、相加効果の認められる組み合わせが複数認められた。今後、ゲル状食品の作製に際して、有用な結果が得られたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に熱物性の測定および動的粘弾性まで測定を進める予定だったが、添加物の影響を調べる際の加圧ゲルを得るための条件が想定と異なっていたため、時間を要してしまい、測定まで及ばなかった。
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今後の研究の推進方策 |
想定とは異なる相加効果も認められたことから、より詳細な添加成分の影響を調べる必要がある。平成24年度も継続して検討を行う予定である。また、平成23年度に行う予定であった熱分析や動的粘弾性試験についても平成24年度に併せて行う予定である。
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