研究概要 |
フラボノイドの硫酸抱合体合成法を前年度までに確立できたので、本年度は合成物の化学構造の推定を行った。その結果、フラバノンであるナリンゲニンの主要な合成物2種は、LCMSMSと1H-NMRの解析からHPLCでの溶出順にナリンゲニン-7,4’-2硫酸、ナリンゲニン-4’-硫酸。フラボンであるアピゲニンの主要合成物2種はアピゲニン-7,-4’-2硫酸、アピゲニン-4’-硫酸。ルテオリンの主要な合成物4種は、ルテオリン-7,3’,4’-3硫酸、3’,4’-2硫酸、7,3’-2硫酸、3’-硫酸。フラボノールであるケンフェロールの主要な合成物4種は、ケンフェロール-3,7,4’-3硫酸、3,4’-2硫酸、7,4’-2硫酸、4’-硫酸。ケルセチンのオープンカラムによる分離・生成物4種は、ケルセチン-3,7,3’-3硫酸、7,4’-2硫酸、7,3’-2硫酸、3’-硫酸であると、それぞれ推定した。一方、イソフラボンについてはアグリコンの入手が少なく、合成量が少なかったため硫酸の結合位置の特定には至っていない。アセトブロモα-D-ブロモグルクロニドメチルエステルによるフラボノイドのグルクロン抱合体の合成では、Koenigs-Knorr反応に用いる金属塩の種類を変え検討したが、K2CO3とAg2CO3を用いることによって合成が認められたものの、20%以上の収率の向上は得られなかった。K2CO3を用いた方法でケルセチンからは3種のモノグルクロン酸合成物が得られた。抱合体の生理的機能性としてナリンゲニンとアピゲニン硫酸抱合体を例としてACEの阻害活性を検討したところ、水酸基への硫酸の結合によてIC50値が高くなり、阻害活性が低くなることが認められた。DPPHを用いた抗酸化性評価においても、硫酸やグルクロン酸によるOH基の置換に伴い同様の結果が得られた。
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