研究概要 |
高ポリフェノール含有食品の摂取は心血管系疾患のリスクファクターを改善するが、その詳細については未だ不明な点が多い。昨年度我々が開発した生体顕微鏡を用いることによる生理的条件下におけるラット挙睾筋および腸間膜微小循環観察システムを用い、植物性ポリフェノール単回投与の影響をラットを用いて評価した。ウレタン麻酔下で胃内チューブを留置したラットにポリフェノール(flavan 3-ols faction, epicatechin, epigallocatechin gallate, cyanidin, quercetin)を投与し挙睾筋を展開し、挙睾筋動脈血流をperiscanPIM2レーザードップラー血流測定装置を用いて測定した。また同時に、tailcaff法を用いて心拍数および血圧をモニターし、大循環に対する影響を検討した。またflavan 3-ols単回投与後の大動脈を摘出し、タンパク質を抽出した後Western blott法を用いてeNOSの発現量を測定した。挙睾筋動脈血流量はflavan 3-ols fraction, cyanidinで上昇したが、epicatechin, epigallocatechin gallate, quercetinでは変化が見られなかった。心拍数および血圧においてもflavan 3-ols fraction, cyanidinで上昇が認められたが、epicatechin, epigallocatechin gallate, quercetinでは変化が見られなかった。flavan 3-ols単回投与後の大動脈において有意なeNOS発現量の増加が認められた。 以上の結果から、ポリフェノールの種類によって、微小循環および大循環に対する作用強度には大きな差異が認められることが示唆された。
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