本研究では、植物ポリフェノールの微小循環に対する作用を検証するためのツールとしてin vivo生体顕微鏡観察システムを構築し、それを利用した評価を実施した。対象としてラットの腸間膜細動脈および挙睾筋細動脈を選択し、麻酔下でプラスティックチャンバーにそれぞれの臓器を展開後、95% N2-5% CO2でエアレーションしたKrebs-Ringerでチャンバーを満たし、pH7.3-4、37℃条件下でCCDカメラを搭載した実態顕微鏡で直接的に血管の観察を試みた。その結果アセチルコリン(Ach)やphenylephrinの添加による血管の収縮・弛緩を可視化することができた。この実験系を用いて、高脂肪食負荷ラットにプロシアニジンを反復摂取させ、腸管膜細動脈のAchに対する応答能を観察したところ、高脂肪食摂取によってAch応答性は顕著に元弱し血管内皮機能の低下が示唆されたが、プロシアニジン摂取群ではそのような変化は認められなかった。一方、麻酔下でプロシアニジンを単回投与した場合、挙睾筋細動脈血流の著明な上昇が確認されるとともに、大動脈におけるeNOS発現量および血中NO代謝物濃度の有意な増加が認められた。これらの結果から、今回開発したin vivo生体顕微鏡観察システムは食品成分の微小循環系を評価する有用なツールであることを確認した。
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