研究課題/領域番号 |
22580149
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
早瀬 文孝 明治大学, 農学部, 教授 (80105246)
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研究分担者 |
渡辺 寛人 明治大学, 農学部, 准教授 (20270895)
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キーワード | Maillard reaction / glyceraldehyde / AGE / diabetes / lysine / ariginine |
研究概要 |
糖尿病患者の体内においてはメイラード反応が亢進し、多様なタンパク質修飾構造(AGE)が蓄積して腎症、動脈硬化などの糖尿病合併症(DC)の発症に関与する。とくにグリセルセルアルデヒド(GLA)による修飾は強い生理作用(毒性)をもたらすことが知られているが、具体的なAGE構造やそれら個々の作用についての知見はほとんどない。当研究室では、リジン残基が修飾を受けているピリジニウム化合物のGLAPおよびアルギニン残基が修飾を受けているイミダゾリノン化合物のMG-H1を主要なAGEとして同定した。本年度ではタンパク質としてリゾチーム、リボヌクレアーゼA、シトクロムcを用い、生理的な条件下でGLA修飾タンパク質におけるグリケーション生成物の解析と反応機構、配列解析によるアミノ酸残基の修飾部位について解析した。具体的にはSDS-PAGEによりモノマー、ダイマー、トリマーバンドを分画後、トリプシンによりゲル内消化を行い、LC-MS/MS分析により解析した。SDS-PAGEによる分析の結果、GLAにより修飾されたタンパク質は経時的に2量体以上の多量体が増加した。これは、GLAがタンパク質において付加物の生成だけではなく、架橋、重合を引き起こしていることを示唆している。GLA修飾タンパク質の配列解析の結果、リゾチームにおいてはアミノ酸配列のK33,K97,K116が修飾され、GLAPが生成していることが明らかとなった。また、同様にアルギニン残基においても検討を加え、MG-H1などの生成物を同定した。これらの結果から、GLAにより、タンパク質中に特定のアミノ酸残基が修飾を受けていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリセルアルデヒド(GLA)によるタンパク質の主要な修飾構造であるAGEが同定され、生体内での生成も明らかとなった。また、抗GLAP抗体の作成も順調に進捗している。さらに炎症に関わるRAGEの新たな機能も明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGLAP以外のAGEの生体内定量、抗GLAP抗体の作成と特異性検定、RAGEとGLA由来AGEの相互作用や生理作用について総合的に検証する予定である。
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