研究課題/領域番号 |
22580150
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森山 達哉 近畿大学, 農学部, 准教授 (60239704)
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キーワード | アレルゲン / 変動解析 / 農作物 / 安全性 / 花粉症 / 口腔アレルギー症候群 |
研究概要 |
近年、花粉症との交差反応に由来する食物アレルギー(クラス2食物アレルギー)が増加し、社会問題となっている。このアレルギーは花粉アレルゲンと構造が似ている野菜・果物・穀類などの農作物中のアレルゲン分子の摂取によって引き起こされる。原因となる花粉症と発症する野菜果物との対応や原因となるアレルゲンに関しても十分に理解されているとは言い難い状況である。更には品種、栽培方法、加工等がこのクラス2の食物アレルゲンの変動に与える影響等については不明である。 本研究では、我が国で消費される主要な農作物について、主要アレルゲン候補分子群を網羅的にクローニング、発現または精製し特異抗体を得る。それらを用いて検出・定量系を構築し、品種間差異、栽培環境(病虫害被害の有無)による変動、加工法による変動などの種々の変動解析を行うことによって農作物アレルギーリスクの変動要因を明らかにする。本年度は、昨年度に引き続き、各種農作物の汎アレルゲンであるソーマチンライクプロテインをクローニングし、大腸菌にて発現を行った。現在、これを元に抗体を作製する準備を行っている。また、ダイズのBetv1ホモログであるGlym4に対する抗体を用いて、サヤエンドウや三度マメ、インゲン豆、シカクマメなどの各種サヤ豆におけるホモログ分子の検出、変動解析を行った。その結果、これらのサヤ豆にもダイズのGlym4類似のBetv1ホモログが存在し、その存在はサヤに多いこと、また、虫害被害や日陰で育てたものなどで増加することが判明した。また、トマトにおいてプロフィリンは成熟よりも未熟の方が多いことも判明した。味噌ではクラス2食物アレルゲンリスクがほとんど無いことが、破砕後遠心上清におけるクラス2アレルゲンレベルを検出することにより明らかとなった。特に豆味噌では各種アレルゲンが極めて高度に分解されていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な汎アレルゲンを精製またはクローニングし、多くの農作物中の当該汎アレルゲン(プロフィリン、Betv1ホモログ、ソーマチンライクプロテイン)を検出する抗体を作製することができた。これらの抗体を用いて、実際の農作物におけるアレルゲンリスク変動に関して検討しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ当初計画通り進行している。来年度は残りの汎アレルゲンについての抗体作製や検出定量系の構築を進め、平行して品種間、虫害・病害被害、未熟・成熟、部位別、調理法、加工法などの各種パラメータでの、アレルゲンレベルの変動を解析する。なお、対象とする農作物は、ダイズ、米、トマト、各種豆類、ホウレンソウ、ジャガイモなどを検討する。
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