3ヶ月生のシラカンバ幼植物体に、サリチル酸(SA)またはアゼライン酸(AA)を投与した。処理後2日目に、各植物体からタンパク質を抽出し、二次元電気泳動で分離後、処理特異的タンパク質を検出した。これらの特異的タンパク質を解析した結果、SA処理では11種類、AA処理では8種類のタンパク質を同定することが出来た。前者で同定されたタンパク質は、エネルギー生産、代謝及びタンパク質合成に関与するものであった。一方、後者で同定されたタンパク質は、光呼吸代謝、糖代謝及びアスコルビン酸生合成、脂肪酸分解、光合成、光化学系I、防御応答、及び分子シャペロンに関与するものであった。得られた結果から、SA及びAAとも、シラカンバ幼植物体内に全身植物免疫を誘導するために、一次代謝及びエネルギー生産を活性化させるが、それぞれの誘導機構が異なることが判明した。
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