研究概要 |
本研究課題は,湿地に生育する樹種を対象に,根系が低酸素にさらされても生育できる耐性機構を解明しようとするものである。特に物理的な耐性機構として,樹皮(周皮)の部分に形成される二次通気組織に着目し,その形成過程や誘導要因を明らかにすると共に,幹から根系に欠けての酸素濃度分布を微小酸素電極を使って実測し,通気組織の形成に伴う樹体内の酸素動態の変化を明らかにすることを目的としている。 平成22年度には,熱帯アジアの湿地に生育するMelaleucaを材料とした実験をおこない,全身を水没させた条件(沈水条件)において,伸長成長を続けられることを確認した。さらに伸長成長が溶存二酸化炭素濃度を高めると促進されることを見出した。 また,解剖学的解析をおこない,茎(幹)だけでなく葉や葉柄にも細胞間隙の広い組織が形成されており,光合成器官と根系などの非同化器官との間に連続した通気組織があることを明らかにした。
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