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2011 年度 実績報告書

強度間伐による壮齢ヒノキ人工林の生態系機能の変化

研究課題

研究課題/領域番号 22580159
研究機関信州大学

研究代表者

岡野 哲郎  信州大学, 農学部, 教授 (00194374)

研究分担者 城田 徹央  信州大学, 農学部, 助教 (10374711)
安江 恒  信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
石井 弘明  神戸大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50346251)
キーワード強度間伐 / ヒノキ人工林 / 壮齢林
研究概要

枝分布:平成23年度の5個体に加え,10個体の毎枝調査を行った。枝数密度の分布が樹冠頂端から指数関数的に減少すること,枝サイズが枝数密度の拡張自己間引き曲線によって表現できることを見いだした。これらの関係から,葉量および枝量の垂直分布を表現する式を提案できた。
メタボリック・スケーリング:代謝を支配すると考えられる葉と非同化器官の表面積を計測した。小枝,大枝,樹冠,個体レベルで器官現存量と器官表面積の関係を調べた結果,葉面積が葉重量の1乗に,非同化器官表面積が非同化器官重量の0.8乗に比例することを見いだした。また,葉面積は非同化器官の1乗に比例した。これらの関係から個体重量に対する葉面積と非同化器官表面積の関係が曲線アロメトリーで表現できることを見いだした。これらの関係は小枝,大枝,樹冠レベルで同じであったが,個体レベルでは異なっていた。その結果,小さな個体ほど葉面積あたりの非同化器官表面積が増加し,枯死に至り易いことが推察された。
下層植生による種子散布:強度間伐によって形成された低木層から種子散布が行われているかどうかを検証した。低木層に64種が出現しているにも関わらず,種子散布を行っているのは12種に過ぎず,人工林の植物種多様性が持続的に維持されるという提言に対して疑問を提示できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書の研究計画に従いデータの取得をほぼ完了できた。また過去15年間の森林構造の変化,植物種組成の変化と埋土種子の種組成,下層植生の資源植物としての利用可能性について論文発表できた。広葉樹の年輪解析については年輪形成が不完全なため,一部断念することとなったが,代わりに過去の植生アーカイブをとりまとめることで対処できた。

今後の研究の推進方策

データの取得と解析をほぼ終えることができたので,炭素固定機能,メタボリック・スケーリング,後生枝による樹冠修復について論文を執筆する。
年輪コアサンプルの取得を成長休止期に行ったので,その計測と解析を継続する。
研究を遂行する過程で,低木層の被陰による林床層の衰退が推察されたので,低木層を除去することで被圧の影響を解除する実験設定をおこなった。この生態系操作実験に対する林床植生の応答を調べることで,新規に提案された仮説を検証する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 強度間伐に対する壮齢ヒノキ人工林の林分構造の中期的応答2012

    • 著者名/発表者名
      城田徹央, 他3名
    • 雑誌名

      信州大学農学部AFC報告

      巻: 10 ページ: 17-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 壮齢ヒノキ人工林における強度間伐後14年間の林床植物の種組成の変化2012

    • 著者名/発表者名
      城田徹央, 他3名
    • 雑誌名

      信州大学農学部AFC報告

      巻: 10 ページ: 27-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 手良沢山演習林ヒノキ人工林に生育する資源植物2012

    • 著者名/発表者名
      城田徹央, 他5名
    • 雑誌名

      信州大学農学部AFC報告

      巻: 10 ページ: 45-60

    • 査読あり
  • [学会発表] レーザー測量によるヒノキ人工林のバイオマス推定2012

    • 著者名/発表者名
      城田徹央, 他4名
    • 学会等名
      第123回日本森林学会
    • 発表場所
      宇都宮大学
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] 強度間伐後の林冠再閉鎖に伴って消失した林床植生2011

    • 著者名/発表者名
      城田徹央, 他2名
    • 学会等名
      第1回中部森林学会
    • 発表場所
      石川県地場産業振興センター
    • 年月日
      2011-10-22
  • [備考]

    • URL

      http://karamatsu.shinshu-u.ac.jp/lab/ricchi/research_2.htm

  • [備考]

    • URL

      http://karamatsu.shinshu-u.ac.jp/lab/ricchi/research_3.htm

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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