研究概要 |
本研究は繰り返しの森林浴による、日常の慢性ストレス状態軽減効果や健康への影響を評価すること、特に、ストレス感受性に関連する遺伝子多型を考慮して、これらを評価することを目的としている。このため、がんの予防を目的として行っている日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)の静岡地区のベースライン調査のデータ・検体(約5,000人分)を使用し、下記の解析を行った。 (1) 森林散策頻度と健康状態との関連の検討 初めに、対象者の森林散策頻度を特定し専門誌に公表した。また、当地区の森林散策頻度の特徴を明らかにするために、北海道八雲町の森林散策頻度と比較した結果も専門誌に公表した。 次に、繰り返しの森林浴の効果を評価するために、高頻度で森林散策をしている人の方が、健康状態などが良いのかどうかを検討した。(1)森林散策頻度と高血圧、及び、血圧値との関連を評価したところ、関連がないことが示された。(2)森林散策頻度と糖尿病関連に関して検討したところ、60歳代の男性においては、森林浴を高頻度でしている人の方が、糖尿病や予備軍の割合が少ないことが示唆された。 (2) 遺伝子解析 ドーパミン分解酵素の活性に関係しており、うつ病などとの関連も報告されているCatechol-O-methyltransferase (COMT) val158Metに関して遺伝子解析を行った。森林散策頻度は,Val/Val型では慢性的にストレスを感じている群で,Met/Met+Val/Met型では,時々ストレスを感じている群で,メンタルヘルス不良と有意な関連が認められ,COMT遺伝子型により,森林散策が有効なストレス状態が異なっている可能性が示唆された。3月末に学会発表を予定しており、更に、今後、専門誌に投稿する予定である。
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