病原菌を運搬することでブナ科樹木の集団枯死を引き起こすカシノナガキクイムシについて、寄主木及び穿孔部位選択様式を調査した。直近に寄主木候補が集中している方が、より大きなスケールでは逆に寄主木候補の密度が低い方が、ブナ科樹木がカシノナガキクイムシのアタックを受ける確率は高くなっていた。また、周囲の穿孔され始めた木の密度が高いほど、その後集中加害を経て枯死に至る確率が高くなっていた。更に、カシノナガキクイムシは初期には樹幹下部に集中して穿孔するものの、下部の穿孔密度が高くなってくるに従い穿孔箇所は上部に移行していくことが明らかとなった。
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