河川への落葉供給源として保全すべき河畔林の範囲を明らかにするため、河畔林主要構成種であるヤナギ類を主対象として落葉移動距離の観測を実施した。調査地は、想定していた石狩川河畔林に適地が見つからなかったため、支流の赤川の河畔林(ヤナギ・ハルニレ林)とした。なお、次年度は別の場所で調査をおこなう予定である。 高所作業車を用いて落葉前の葉にスプレーで着色し、調査個体から放射状に配置したリタートラップと林床コドラードで着色した葉の落下数を観測する方法を基本とした。この際、着葉位置の高さの違いが移動距離に与える影響を検討するため、樹冠上部と下部で色を変えた。調査対象は、エゾノキヌヤナギ1個体を主対象とし、さらに隣接するハルニレ1個体も副対象として調査をおこなった。落葉移動に影響しうる気象要素として、落葉期の風や降水量、気温等を観測した。風は、林内に高さ11mのポールを立て4高度で風向・風速を観測した。また、林床での落葉移動調査のため、落葉期の終盤に、風の観測地点の近傍に落葉の模型(ヤナギ、ハルニレ、ブナの3種類を作成)を設置した。次年度の融雪完了後に移動距離の調査をおこなう。 現時点ではまだ落葉試料の分析中であり、具体的結果は出ていないが、すべての観測はほぼ予定通りに進んでおり、河畔林での落葉移動に関する重要な知見が得られるものと期待される。なお、本研究での試みは、川の博物館講座(10月7日、川の博物館(石狩川振興財団)、一般市民向け)で紹介し好評を得た。
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