これまでに得られたデータの解析を行い、短伐期施業の下にある里山林の生物多様性の林齢に伴う変化、および炭素収支の林齢に伴う動態を明らかにした。チョウ類とゴミムシ類の多様性調査の結果、種構成が林齢とともに大きく変化すること、またこのため小面積の短伐期施業林が隣接する里山では、異なる林齢の林分のモザイク的な空間配置となって地域の多様性が高まることが示された。このことから地域一帯で行われる短伐期施業の重要性が指摘できる。またモデルを作成して里山林の炭素収支(バイオマスに比例)動態の評価を行った。この解析では、バイオマス増加速度から最適伐期齢は15年頃と推定された。適切な里山管理による森林資源の有効利用法として、具体的な指針の提案が可能となった。
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