研究課題
過去の森林からの収奪の歴史及び、草地から森林への転換の生態系に及ぼす影響を解明するために、長野県と山梨県に位置する八ヶ岳南西麓(長野県茅野市、原村、富士見町)を対象にして、明治以降の植生および土地利用の変化を把握することを試みた。対象地域の陸地測量部および国土地理院作成の旧版地形図、空中写真および古写真を収集した。旧版地形図ごとに地形図上に記載された地図記号を読み取り、地理情報システム(GIS)化して植生と土地利用に関する基礎的な時系列データを作成した。旧版地形図から読み取った情報の精度を確認するため、旧版地形図が測量された年と近い時期に撮影された空中写真と古写真、GIS化した地図との比較を行った。対象地域には、明治から第二次世界大戦直後にかけて継続して荒れ地(採草地や牧草地も含む)として利用されていた場所が多かった。現在、対象地域はカラマツを主体とする針葉樹林となっているが、針葉樹林化が進んだのは第二次世界大戦後であることが確認できた。空中写真および古写真では荒れ地として見える場所が、旧版地形図では針葉樹林として記載される場所があった。植林直後の幼齢林では樹高が低く、開放的な空間となっているため、写真では荒れ地のように見えてしまう可能性が考えられた。陸地測量部作成の地形図に記載されている大樹と小樹を示す地図記号を確認するか、森林簿などの記載との比較などを行い、植生の復元精度を高める必要がある。今後は、GIS化した時系列データから植生および土地利用の変化をパターン化し、パターン毎に自然科学的調査を行う地点を決める予定である。
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