研究概要 |
食品添加剤,化粧品,医薬品などに広く利用されている有用物質グルクロン酸およびその分子内エステル誘導体であるグルクロノラクトンを効率的に生産するために,グルカン類をTEMPO触媒酸化することによって得られるグルクロナン(ポリグルクロン酸)と,これに作用する加水分解酵素とを組み合わせる新規プロセスを構築することを目的として検討を行った 酵素の基質にするグルクロナンとして,セロウロン酸(β-1,4-グルクロナン),アミロウロン酸(α-1,4-グルクロナン)に加えて,カードラン((β-1,3-グルカン)のTEMPO触媒酸化によって得られる酸化カードラン(β-1,3-グルクロナン)も新たに用いることにした.酸化カードラン分解菌はこれまでに知られていないため,各地で採取した土壌を微生物源として新規分解菌のスクリーニングを実施した.その結果,数種の酸化カードラン分解菌を単離することができ,その中で特に強い分解能を示した1株(EH621株)については,16S rRNAをコードする遺伝子の塩基配列をデータベースと比較することでPaenibacillus属と同定した.EH621株の産生する酸化カードラン加水分解酵素活性は無細胞抽出液中に検出されたが,予想していたよりも活性が低かったため,培養条件や,酵素抽出条件などの最適化を進めている.また,より強力な分解菌の単離をめざして,菌株のスクリーニングも継続して行っている
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