研究課題/領域番号 |
22580180
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
武田 孝志 信州大学, 農学部, 教授 (50242673)
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研究分担者 |
細尾 佳宏 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (80377184)
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キーワード | 高温セット法 / フラクトグラフィー |
研究概要 |
平成22年9月から平成23年9月にかけて、カラマツ心持ち正角材の暴露試験を行った。乾燥条件は、高温セット法で2種類(セット時間はそれぞれ48時間、18時間)及び中温乾燥(312時間)、並びに天然乾燥の計4条件である。暴露条件は、屋外、屋外屋根付き、屋内の3条件である。平成23年9月に所定の測定を行った後、実大曲げ試験を長野県林業総合センターで行った。金物腐食試験用試験体とフラクトグラフィー観察用試験体は信州大学農学部に設置した。 フラクトグラフィーに関しては、カラマツ材とスギ材について平成22年度より大幅に試験体数を増やし、特に高温セット48時間(HL)と天然乾燥(AS)の差異に焦点を当てて観察を行った。スギ材は、角部ではHLとASの違いが認められなかった。一方、中心部では晩材部においてASでは凹凸が観察されたのに対してHLでは平滑な破面が観察された。HL同士を比較すると、カラマツ材の中心部では早材および晩材の両者において平滑な破面が観察されたのに対して、スギの中心部では晩材のみ平滑面が観察された。一方、角部ではカラマツは晩材で平滑な破面、早材で凹凸面であったのに対して、スギでは早晩材とも凹凸面が観察された。高温セット法が引張破壊形状に与える影響はカラマツとスギで異なることが明らかになった。 含水率は、設置前では天然乾燥が最も高く、乾燥条件別の暴露後の含水率も設置前の含水率の順序を保っていた。また、水分傾斜については屋外条件では上面の方が下面より低く、屋根付、屋内の順に水分傾斜は小さくなる傾向が見られた。実大曲げ強度については、暴露条件間の差異は小さく、乾燥条件の及ぼす影響の方がより顕著であった。金物腐食の目視観察の結果、乾燥方法より暴露方法の影響が顕著であり、鉄釘のさびでは屋外はいずれも腐食が進行していたが、屋内では天然乾燥が最もさびが少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実大曲げ試験、金物腐食試験は完了し、フラクトグラフィー観察についても一定の成果を上げているため、概ね順調に進展していると判断される。また、実大曲げ試験の成果については、本年度の国際学会で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フラクトグラフィー視察については観察を行う試験体数をさらに増やしていくことにより、得られた結果に対する信頼性をより一層高めていく。実大曲げ試験体の非破壊部分から小試験体を採取して、部位別の強度性能を求め、暴露履歴の影響について検討する。
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