研究課題/領域番号 |
22580183
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉永 新 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60273489)
|
研究分担者 |
上高原 浩 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10293911)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
キーワード | リグニン / 前駆物質 / コニフェリン / スクロース / 木質化 / 細胞壁 / MALDI TOF MS / イメージング |
研究概要 |
スギ、ヒノキの直立木及び傾斜木から分化中木部を採取し、厚さ20μmの横断面切片を作製し、室温で乾燥させた。深さ120μmとなるように座ぐり加工を施したターゲットプレートに、導電性のC両面テープ(厚さ約110μm)を用いて切片を固定した。その後、カチオン化剤としてトリフルオロ酢酸ナトリウムを含むマトリクス(DHB)溶液を噴霧し、真空乾燥させた。その切片についてMALDI-TOF MSを用いてイメージング測定を行った。その結果、正常材分化中木部において、コニフェリンと同様にm/z=365にピークを示す物質が、二次壁形成中木部に局在することが明らかになった。さらにアルゴンガスを導入し、その物質のフラグメントイオンのパターンを標品のコニフェリンと比較した結果、両者のパターンが一致した。しかしながら、分化中木部に存在する可能性のあるスクロースのMALDI-TOF MSスペクトル及びフラグメントイオンのパターンを調べたところ、これらがコニフェリンと一致した。この結果は、MALDI-TOF MSイメージング測定のみではコニフェリンとスクロースを識別することが困難なことを示している。そこで、切片を四酸化オスミウム蒸気で処理することにより、分布を変えずにコニフェリンのみに水酸基を2個導入することに成功し、切片中のコニフェリンとスクロースの分布を識別することが可能となった。この方法により、コニフェリンは二次壁形成中木部に存在することが確認された。また、同様の方法で圧縮あて材分化中木部をイメージング測定した結果、あて材形成時にはコニフェリンは貯蔵されず、合成と同時に細胞壁へ効率よく輸送される機構が働いている可能性が示唆された。四酸化オスミウム蒸気処理と組み合わせたMALDI-TOF MSイメージングは、切片中のコニフェリンの分布を調べるのに有効な方法であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|