研究課題/領域番号 |
22580189
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
木口 実 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (50353660)
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研究分担者 |
片岡 厚 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (80353639)
松永 浩史 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (80391184)
小林 正彦 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 研究員 (00397530)
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キーワード | 混練型WPC / 加溶媒分解物 / 光安定剤 / 耐候性 / 添加剤 |
研究概要 |
本研究では、相溶化剤や紫外線吸収剤等の添加剤を用いて木質含有割合の高い木粉・プラスチック複合材(木質高配合混練型WPC)の強度性能及び耐候性能を向上させ、その機構を明らかにすることを目的とする。WPCは木粉割合が高いほど環境的に有利であるが、既成のプラスチックと比較すると強度や耐水性、耐候性等が劣るため、相溶化剤や紫外線吸収剤等の添加剤による性能向上機構を解明して、化石資源由来プラスチックの代替材料とすることを目指す。本年度は、相溶化剤、繊維強化剤等の有機充填剤、紫外線吸収剤・光安定化剤等を組み合わせて添加したWPCを製造する。動的粘弾性の温度依存性の評価や力学試験、顕微鏡観察等を行い添加物が木材とプラスチックの強度性能、耐候性能に及ぼす影響を検討した。 溶媒に高級脂肪族アルコール及びポリオキシエチレンを用いた木材の加溶媒分解生成物を添加剤としてWPCに添加し、その効果を評価した。高級脂肪族アルコールを用いた系において、衝撃強さはコントロールと比較し10%程度向上した。熱流動性試験の結果から、加溶媒分解生成物が可塑剤として働いていることが明らかとなった。特に、高級脂肪族アルコールを用いた系では熱流動開始温度が著しく低下し、流動速度が上昇した。木材の加溶媒分解生成物の添加による熱流動性の向上により、木材含有率の増加、製造負荷の低減等が期待できる。促進耐候性試験を行った結果、紫外線吸収剤は比較的短波長のものが耐候性向上効果が高く、光安定化剤ではオレフィン用ならばほとんどの安定化剤で耐候性向上効果が認められた。また、屋外暴露試験によりWPCを垂直、45度傾斜、水平で暴露して評価を行った結果、表面を研削した方がチョーキングが発生しやすいが変色は研削しない面より抑制する傾向を示した。1%程度の相溶化剤の配合は、表面変色、チョーキング共に配合率による違いはほとんど無かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
添加剤として木材の加溶媒分解物や紫外線吸収剤、HALS等の光安定化剤等の添加剤により木質含有率の高い混練型WPCの性能を向上させることを目的としており、これら添加剤の効果が明らかとなってきているため順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、添加剤の性能向上効果のメカニズムをより明らかにするため、添加剤の添加評価と平行してプラスチックと木粉との界面状態やWPC表面の劣化状態等の観察を行う。
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