研究課題
本研究は、これまでに開発している冷水病耐病性形質識別マーカーを利用した系統において、ビブリオ病耐病性形質識別マーカーを明らかにし、複数の疾病(冷水病とビブリオ病)に対する耐病性形質を保持する新規系統作出技術を開発する事を目的とした。そこで本年度は、ビブリオ病耐病性形質識別マーカーの開発を行った。1.冷水病耐病性形質を保持したアユをマーカー選抜することが可能なビブリオ病解析用雑種第2代(F_2)家系を用いて、ビブリオ病菌を用いた人為感染実験を行い、各個体の耐病性形質(生存もしくは死亡)を評価した。アユ(90尾)の腹腔にビブリオ病菌(PH-301)を1.10x10^3CFU/fishとなるように注射し、水温20℃で7日間の流水飼育を行い、死亡数を日別に計測した。感染実験の結果、死亡魚54尾・生残魚36尾で累積死亡率は60.0%となった。死亡魚および生残魚から尾柄部を保存し、DNA抽出に用いた。2.人為感染実験に用いた解析家系のゲノムDNAを抽出し、マイクロサテライトマーカーを用いて分子遺伝学的データを収集した。使用するマイクロサテライトマーカーは、全ゲノム領域を網羅するようにゲノム地図を参考にして選択して使用し、合計170マーカー座を解析に用いた。解析家系において、170マーカー座のうち144マーカー座で多型性がみられた。3.各個体の耐病性評価データ(生存・死亡)と分子遺伝学的データとを用いて、F_2モデルの連鎖解析を行い、ビブリオ病耐性形質と関連性のあるマイクロサテライトマーカーを検討した結果、4連鎖群上のマイクロサテライトマーカーで有意差(P<0.05)が見られた。
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