研究課題/領域番号 |
22580196
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
坂本 崇 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (40313390)
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キーワード | マイクロサテライト / 連鎖解析 / アユ / 耐病性 / 育種 / ビブリオ病 / ゲノム / 遺伝子地図 |
研究概要 |
本研究は、これまでに開発している冷水病耐病性形質識別マーカーを利用した系統において、ビブリオ病耐病性形質識別マーカーを明らかにし、複数の疾病(冷水病とビブリオ病)に対する耐病性形質を保持する新規系統作出技術を開発する事を目的とした。本年度は、ビブリオ病耐病性形質識別マーカーの開発を行った。 1.人為感染実験を実施し、各個体の耐病性形質(生存もしくは死亡)を評価したビブリオ病解析用雑種第2代(F2)家系のゲノムDNAを用いて、マイクロサテライトマーカーを用いて分子遺伝学的データを収集した。解析家系において、昨年度に引き続き、各個体の耐病性評価データと分子遺伝学的データとを用いて、F_2モデルの連鎖解析を行った。雌親由来マーカー型においてビブリオ病耐性形質と関連性のあるマイクロサテライトマーカーを検討した結果、5連鎖群上のマイクロサテライトマーカーで有意差(P<0.05)が見られた。昨年度の連鎖解析(雄親由来マーカー型)でビブリオ病耐性形質と関連性のあるマイクロサテライトマーカーが存在する4連鎖群とは異なる連鎖群だった。またこれらの結果は、F_2モデルでのgenome-wideのSignificantレベルの閾値を超えなかった。 2.海産交配系統と累代系統を複数回交配した2つの家系の雌雄を交配し、新規解析家系を作出した。この解析家系のアユ(94尾)の腹腔にビブリオ病菌(PH-301)を1.58×10^4CFU/fishとなるように注射し、水温20℃で6日間の流水飼育を行い、死亡数を日別に計測した。感染実験の結果、死亡魚51尾・生残魚43尾で累積死亡率は54.3%となった。死亡魚および生残魚から尾柄部を保存し、DNA抽出に用いた。人為感染実験に用いた解析家系のゲノムDNAを抽出し、マイクロサテライトマーカーを用いて分子遺伝学的データ収集を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビブリオ病解析用雑種第2代(F_2)家系を用いた解析では、F_2モデルでのgenome-wideのSignificantレベルの閾値を超えるマイクロサテライトマーカーが存在しないことが明らかとなった。解析家系の作出に用いた累代系統と海産交配系統は、遺伝的均一な系統ではないため、ビブリオ耐病性を持たない親魚を交配に使用した可能性が考えられ、それも予想して、次の解析家系を準備し、ビブリオ病耐病性形質識別マーカーの開発を再度開始することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度もビブリオ病耐病性形質識別マーカーの開発を目指し、研究を推進する。 研究を遂行する上での問題点はない。
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