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2011 年度 実績報告書

魚類の神経筋運動系の使い回し仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 22580198
研究機関広島大学

研究代表者

植松 一眞  広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00116542)

研究分担者 藤川 愉吉  広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (10506687)
キーワードアユ / 脳 / 産卵中枢 / c-fos / 遺伝子発現 / タンパク質発現 / 抗体作製 / 脳地図
研究概要

1.脳内c-fosのmRNA発現を誘導するために、神経細胞を網羅的に興奮させるカイニン酸をアユの腹腔内に投与した。投与後、経時的に脳を摘出、保存した。リアルタイムPCRにより、c-fosのmRNAの発現量は投与後30分をピークとして、その後減少することが、あらためて確認された。また、市販の抗体を用いたウエスタンブロッティングでは脳内のc-Fosタンパク質の発現量は投与後120分を経過しても高いレベルを維持していることが分かった。
2.同じ抗体を用いて、カイニン酸投与したアユ脳の切片を免疫染色した結果、対照群よりも多くの脳ニューロンがより濃く染め出されていることが分かった。
3.秋に滋賀県水産試験場の屋外水槽に設けた人工産卵場にアユ成熟親魚雌雄を放ち産卵行動の誘起を試みた。試行錯誤の末、数時間にわたる産卵行動を観察できた。観察後、魚を取り上げ、上記と同様に処理した。
4.アユ脳の完全連続切片を作製し、ニッスル染色を施し、嗅球から脊髄前端までの32枚の脳地図を作成し、各脳領域を特定した。これは、今後の産卵中枢を特定する作業において重要な資料となる。
5.神経トレーサーを脊髄に投与し、脳内の脊髄投射ニューロンを標識することができた。
6.アユc-Fos遺伝子の塩基配列を発現ベクターにサブクローニングすることができなかったため、大腸菌による組換えタンパク質の作製と特異抗体の作成は次年度への課題となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1.市販の抗体では特異的な染色結果が得られなかった。また独自の特異抗体も作成に至らなかった。大腸菌に組み換えタンパク質として抗原を生産させることができなかったためである。2.ノザンブロッティングでは遺伝子の発現が確認できなかった。3.人工環境でアユを産卵させることはできたが、取り上げまでに時間がかかることや、産んだ個体の識別がし難いといった問題があった。

今後の研究の推進方策

1.アユc-fosを発現ベクターに組み込み、大腸菌に組み換えタンパク質を作らせる計画であった。来年度は、用いるベクターや大腸菌の種類の検討、大腸菌で発現しやすいコドンへの変更、全鎖長ではなく、特異性の高い部分配列を組み込むなどして再挑戦する予定である。
2.ノザンブロッティングの問題に関しては、プローブの長さを検討するとともに、単離・精製したmRNAを用いる予定である。
3.今年度は大型の屋外水槽を産卵実験に用いたために上記の問題が生じた。来年度は、産卵個体を識別できるように、個体数、水槽の大きさともに、より小さい規模での産卵誘起実験を行う。

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公開日: 2013-06-26  

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