研究課題
本研究では、ブリの成熟に伴うリスクを回避するために成熟抑制技術の確立を行なった。本課題で行なった実証試験は、愛媛県愛南町久良湾にて養殖生け簀で飼育されているブリの給餌を制限する事で成長がどのようにコントロールされるのかを調べた。まず、冬期から春期にかけて制限給餌を行なっているブリと普通給餌を行なっているブリを定期的にサンプリングし解析した。ブリの生殖腺の重量、形態変化および血中の性ホルモン量から、精子形成および卵形成の最も盛な時期が4-5月である事が明らかとなり、制限給餌を行なった群の生殖腺は、普通給餌を行なった群に比べ、この時期の生殖腺の体に対する重量が低い値を示した。また、生殖腺のステージも制限給餌群は、普通給餌群に比較して発達に差がある事が明らかとなった。更に性ステロイド17α,20β-ジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)の濃度が産卵期(5月)に、制限給餌群で減少する事から、制限給餌を行なう事により血中のDHP濃度が大きく抑えられる事が明らかとなり、産卵後のブリの成長遅滞と体重減少には、DHPが大きく関与している可能性が示唆された。本研究では、制限給餌がブリの筋肉中の一般成分に与える影響を調べた所、制限給餌群では筋肉中の脂肪含有量の減少を抑える事が明らかとなった。消化酵素に着目し性成熟に伴うプロテアーゼ、リパーゼ活性を測定した所、産卵期にリパーゼ活性が増加した。この事から、成熟後の肉質劣化はリパーゼ活性の増加による急激な脂質分解が主な原因であることが示唆され、ブリの成熟に伴うリスクが、給餌による成熟抑制により回避されることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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