研究概要 |
底びき網や底延縄漁業などの着底漁業が海底環境に与える影響を評価するために,海底と一体となって海底環境を構成する刺胞動物(いわゆるサンゴ類など)や海綿動物などの固着性生物に注目した。長崎県橘湾で操業を行う底曳網漁船について,以下の調査を実施し,解析を行った。 底曳網漁船にGPSロガーとGPS付デジタルカメラを装備し,2010年9月から2011年1月の管に7日間24曳網の操業位置とその際に間隔された固着性生物の記録を行った。橘湾の底曳網漁船は一日に1-3.5時間の曳網を2から5回実施し,漁場は季節により変化した。これらの操業において87個体の固着性生物の混獲が観察され,そのうちの86%がウミエラ目,残りの14%が花虫綱の生物であった。同じ曳網におけるウミエラ目と花虫綱の混獲数には相関が無く(r=0.02),ウミエラ目が底曳網漁場に広く分布して混獲されることに対して,花虫綱の生物は特定の海域(湾奥部)でのみ混獲された。 底曳網漁具の設計の調査から,掃海面積はビーム長(11m)×曳網時間(h)×4.07(速力の係数)から見積もることができ,橘湾におけるこれらの固着性生物の分布密度は,0から0.021個体/100m^2であった。
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