研究概要 |
海苔養殖に利用されているスサビノリは大型海藻のモデル植物として注目されており、ゲノムプロジェクトもほぼ終了し現在公開待ちの状況にある。しかし,遺伝子導入法や形質転換体作出法など遺伝子資源を活用するための基礎技術が確立していない。本研究は,スサビノリからDNA型トランスポゾシ遺伝子を分離し,ストレス処理による活性化を用いて効率的な変異体作出法を開発することを目的としている。初年度はかずさDNA研究所に登録されているスサビノリのESTクローンの配列を利用して、ストレスに応答する転移因子の検索を行った。 スサビノリの公開ESTクローンは6種のトランスポゼース様コンティグ配列に分類できた。これら6種の配列のうち3種はセンス配列であったが、残りの3種はアンチセンス配列であった。RT-PCRにより発現量を調べたところ、これらのセンス配列およびアンチセンス配列は通常の生育条件でも少量ながら発現していることが明らかになった。なお、アンチセンス配列として登録されていた遺伝子はアンチセンス配列に加えてセンス配列の発現も検出された。次に、各種ストレス処理による転写量の変化を調べたところ16種のトランスポゼやス様配列のうち、細菌め挿入因子および真核生物のSn/Spmのトランスポゼース領域と相同性のある遺伝子は硫酸銅処理により転写が増大することが明らかになった。これらはいずれも、通常状態ではセンス配列が発現している遺伝子であった。また、これらの遺伝子は熱ストレス処理によっても転写が活性化することが示された。次年度はこれらのストレス応答性遺伝子を中心に遺伝子構造や転移能について検討する予定である。
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