研究課題
海苔養殖に利用されているスサビノリは大型海藻のモデル植物として注目されており、ゲノムプロジェクトもほぼ終了し現在公開待ちの状況にあった。しかし,遺伝子導入法や形質転換体作出法など遺伝子資源を活用するための基礎技術が確立していなかった。本研究は,スサビノリからDNA型トランスポゾン遺伝子を分離し,ストレス処理による活性化を用いて効率的な変異体作出法を開発することを目的としていた。H22年度は,かずさDNA研究所に登録されているスサビノリESTデータベースから6種のトランスポゼース様遺伝子を見いだし,それらの部分配列をもとに発現様式を調べた。その結果,4種の遺伝子は通常状態ではアンチセンス配列が転写され,ストレス処理にも応答しなかった。一方,細菌の挿入因子および真核生物のSn/Spmのトランスポゼース領域と相同性のある2種の遺伝子は通常状態でもセンス鎖配列がごく微量発現していた。細菌型トランスポゾンが真核生物でも活性型因子として存在する例は知られていないが,起源の古い紅藻スサビノリには残存している可能性が考えられた。そこで,H23年度は細菌型トランスポゾンに焦点をあて,他の5種のトランスポゼース様遺伝子と比較しながら,遺伝子構造と発現様式を再検討した。その結果,細菌型トランスポゾンは201アミノ酸のトランスポゼース様配列のみをコードする単純な構造をもち,磁性細菌の挿入因子と相同性があることがわかった。また,ストレス条件を再検討した結果,同因子は銅ストレスにより転写が活性化されることが確認された。H24年度は細菌型トランスポゾンのゲノム構造を調べ,欠損遺伝子もあるが,活性型構造をもつものがあることがわかった。H25年3月にスサビノリのゲノム情報が公開され,この細菌型トランスポゾンがゲノム中に複数存在したことから,この細菌型トランスポゾンは活性型をもつことが推定された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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