①ゴンズイの触鬚神経線維には 1)プロリンとベタインに応答するもの、2)グリシンとアラニンに応答するもの、3)0.1-0.2のpH減少に応答するもの、4)機械刺激に応答する 4種類が存在することが分かった。アミノ酸感受性線維は刺激に対しては相的に応答し直ぐに順応するが、pH感受性線維は相的とそれに続く定常的に応答して順応が遅いことが分かった。このpH感受性は、現在まで調べられているpH受容器の中で最も鋭敏である点で注目される。②前方複合神経節において、三叉ニューロンはより中枢側に、顔面ニューロンはより末梢側に存在することが分かった。 ③三叉ニュロン、顔面ニューロン、前方側線ニューロンは全て両極細胞であることが分かった。三叉と顔面ニューロンの細胞体から中枢側に出る中枢線維は末梢線維に比べて直径が半減し、線維を取り囲む髄鞘も薄いことが分かった。④三叉神経節に相当する部位では細胞体の体部位局在構築がみられたが、顔面神経節中では明瞭な構築はみられなかった。顔面味覚ニューロンの存在は頭部と胴体部では神経節レベルで異なるが、個々の神経節中では体部位局在構築はみられないことが分かった。⑤ゴンズイは夜間において、水槽の底に埋め込んだu字管に入れたゴカイを感知して食べることが出来ることを観察した。この摂餌行動が、ベタイン刺激ばかりでなく僅か0.1-0.2のpH減少の刺激でも誘起できることを明らかにした。⑥三叉神経の中脳路核ニューロンが視蓋の下に存在し、このニューロンは末梢の下顎枝に線維を送ることを明らかにした。
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