研究概要 |
グラム陰性菌由来物質であるリボ多糖(LPS)によってマナマコ体腔液中のタンパク質成分に現れる変化を二次元電気泳動によって調べた。しかしマナマコ体腔液は高濃度の塩分と界面活性剤を含むため、通常のサンプル処理では、等電点電気泳動を再現性良く行うことができなかった。そこでまずサンプル調整条件について検討したところ、透析と市販のサンプル調整キットとの組み合わせで満足できる結果を得ることができた。マナマコ体腔内に10mg/mlまたは1mg/mlのLPS溶液、対照群にPBSを体重100gあたり0.1ml注射し、0,24、48時間後に体腔液を同一個体から連続採集した。二次元電気泳動によりスポットパターンを比較したところ、0時間には見られなかったスポットがLPS注射後複数個確認された。特に0.1mg/mlLPS投与群では酸性側に25kDaの連続したスポットの増加が見られた。また全体的には24時間後より48時間後の方が変化が大きい傾向が見られた。しかしながら個体差が大きく、個体間の再現性にやや乏しかった。また体腔液のタンパク質濃度が低かったため、試料を使い切ってしまい、タンパク質同定に進むことができなかった。23年度はあらたに刺激実験を行い、体腔液をプールするなどして個体間の差の影響を小さくする方法を検討する必要がある。一方、研究の過程で体表洗浄液からも数種類のバンド、及びレクチン活性を検出したが、こちらも興味深い結果である。
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