哺乳類においては、免疫反応の抑制的機能は、調節性T細胞(Treg)により担われている。LAG-3は魚類において、その存在が予想される調節性T細胞の同定及び解析には最も期待できるマーカーであると考えられる。本研究は、魚類LAG-3分子の機能解析と魚類調節性T細胞の同定では、初めての研究となる。まず、ギンブナLAG-3分子に対してモノクローナル抗体を作成し、LAG-3陽性細胞を単離する。この細胞が調節性T細胞に属するかどうかを、典型的なマーカーの存在を調べたり、invivoで抗原特異的トレランスを誘導する能力を調べることにより、解析する。ニジマスLAG-3を研究し、その発現が鰓で高いことを見出した。鰓では、IL-4/13Aの発現も高く、Th2/Tregに傾いた環境であると推察される。これらの結果は、2つの論文にまとめられた。ニジマスLAG-3をラット細胞株NRKで発現させ、現在、この分子に対してモノクローナル抗体を作成することを試みている。残念ながらギンブナLAG-3に対するモノクローナル抗体作成はうまく進んでいない。ニジマス及びギンブナのLAG-3を大腸菌でHis-Sumo蛋白質として産生させることを試みており、ウサギでの免疫や結合実験に用いる為に可溶性のタンパクを得ることを目指している。免疫調節性T細胞の存在を調べるために、ギンブナを用いて免疫トレランス実験を行なった。抗原はovalbuminを用い、可溶性抗原及びアジュバント混合抗原を用いて種々のスケジュールで免疫を行なった。現在ELISA解析を行なって抗体の力価を調べている。
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