本研究では、MHCクラスII分子と免疫抑制的MHCクラスII受容体であるLAG-3を解析することにより、魚類のTregを解明し、さらに異なる近縁種から由来すると考えられている3種の異なったハプロイドゲノムを有するクローンのtriploidギンブナの起源を解析することを目的としている。我々はLAG-3の発現をTh2/Tregにシフトした免疫環境である鰓で見い出した。さらにギンブナMHCクラスIIを解析することに成功し、魚類MHCクラスIIの進化に関して大変興味深い研究結果を得ることができた。我々のtriploidクローンギンブナのモデル系統の解析において3種の異なるLAG-3/CD4関連遺伝子であるG6F-like配列を得た為、各種フナの多数の個体を入手し、さらにDNA塩基配列解析を行った。Triploidギンブナは、予想外にheterogenousなギンブナ種に元々属していたことが明らかになりつつある。またゼブラフィッシュのG6F-like分子が血液凝固の系に於いて重要であることを明らかにした。2011年に硬骨魚類のTregマーカーとしてIL-15Raが有望であることが報告されたので、解析をその方向へとシフトさせることにした。IL-15RaはIL-2、IL-15、IL-15Lなどの関連するサイトカインにより特異的に活性化を受け、魚類の免疫システムに影響を与えるため、ツールとして大変有望と考えられる。さらに、我々は同じIL-15Raと反応する上記近縁サイトカインが免疫抑制的なTreg活性と炎症(哺乳類では各々IL-2Ra及びIL-15Raによる)とをどの様に区別しているのかについて、進化的な観点から非常に興味を持っている。我々はニジマスのIL-2、IL-15、IL-15L、IL-15Ra遺伝子を増幅し、リコンビナントIL-15LがIL-15Raに結合することを見い出した。
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