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2011 年度 実績報告書

免疫-内分泌相互作用はサケ科魚類の生活史を左右するか

研究課題

研究課題/領域番号 22580215
研究機関独立行政法人水産総合研究センター

研究代表者

矢田 崇  独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 研究グループ長 (80372043)

キーワード遺伝学 / 水産学 / ストレス / 生理学 / 免疫学
研究概要

疾病や組織損傷・ストレスによる免疫系の活性化が内分泌系にどのような影響を与え、さらには魚類の生活史にどの様な影響をもたらすのか、スモルト化という生活史のターニングポイントを持つサケ科魚類を材料として、in vitro・in vivoの両面から明らかにすることを目的とする。本年度は生体下での免疫機能の状態が、免疫系から直接、または内分泌系を介して間接的にどの様な影響を及ぼすか、これまでに確立した培養系を用い、時間経過を考慮しながら解析を進めた。培養下のニジマス白血球へのリポ多糖の投与は、炎症性サイトカインであるIL-1の発現量を24時間で上昇させる一方、コルチゾル受容体の発現に対しては、48時間で上昇効果が確認された。コルチゾルの投与は当然のことながらその受容体の発現を24時間で上昇させる一方、IL-1に対しては48時間でも効果が見られなかった。そこで、コルチゾル分泌の昂進と免疫抑制が起こる、水位低下によるストレスを負荷したニジマスから得た白血球に対して同様の実験を行い、48時間後の反応を見たところ、IL-1投与による効果はストレスを負荷しなかった場合と同様であったが、コルチゾル投与では、その受容体の発現が上昇するという反応が見られなくなっていた。すなわち、ストレスを受けた個体では、免疫系の反応は変わらないが、内分泌系の反応が出なくなっており、ストレスへの"慣れ"を、分子レベルで捕らえることができたと言うことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画通りに、in vitro・in vivo双方の手法の特徴を活かしたことにより、ストレスに起因した疾病の回避という実用的な方向へも波及しうる成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

これまで研究に用いたニジマスの、同種ながらスモルト化・降海特性をもつ系統であるスチールヘッドトラウトを用い、生体下でのリポ多糖・コルチゾルの投与が及ぼす影響について解析を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Effect of gonadotropin-releasing hormone on phagocytic leucocytes of rainbow trout2011

    • 著者名/発表者名
      Yada, T.
    • 雑誌名

      Comparative Biochemistry and Physiology Part C

      巻: 155 ページ: 375-380

    • DOI

      10.1016/j.cbpc.2011.10.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Physiological and molecular endocrine changes in maturing wild sockeye salmon, Oncorhynchus nerka, during ocean and river migration2011

    • 著者名/発表者名
      Flores, A.M., Shrimpton, J.M., Patterson, D.A., Hills, J.A., Cooke, S.J., Yada, T., Moriyama, S., Hinch, S.G., Farrell, A.P.
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Physiology B

      巻: 182 ページ: 77-90

    • DOI

      10.1007/s00360-011-0600-4

    • 査読あり
  • [学会発表] サケ、コイ、およびウナギ科魚類の水温低下時の体温変動2012

    • 著者名/発表者名
      三浦剛, 棟方有宗, 矢田崇, Schreck, C.B., Noakes, D.L.G., 松田裕之
    • 学会等名
      平成24年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] ニジマス白血球に対する生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンの作用2011

    • 著者名/発表者名
      矢田崇
    • 学会等名
      第36回日本比較内分泌学会大会
    • 発表場所
      都道府県会館(東京都)
    • 年月日
      2011-11-23

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公開日: 2013-06-26  

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