研究課題/領域番号 |
22580216
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
奥村 卓二 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 主幹研究員 (30372030)
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研究分担者 |
大平 剛 神奈川大学, 理学部, 助教 (10361809)
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キーワード | 甲殻類 / クルマエビ / 内分泌 / 卵黄形成 |
研究概要 |
甲殻類では、眼柄内神経節からペプチドホルモンの卵黄形成抑制ホルモンが分泌されて卵形成の調節に働いていると考えられているが、その作用機構には不明な点が多い。本研究課題では、クルマエビの卵黄形成抑制ホルモンの血中量の変動を明らかにするとともに、ホルモン投与と除去の影響を調べることにより、卵黄形成抑制ホルモンの作用機構を明らかにすることを目的としている。23年度は、ホルモン合成抑制が卵形成に与える影響を調べ、さらにホルモン血中量の測定を行った。 RNA干渉技術による合成抑制をするため、ホルモンの塩基配列と相同な二本鎖RNAを合成して未熟な亜成体雌エビに注射し、卵巣の発達を調べた。注射から58日後でも卵巣は未熟なままで、生理食塩水を注射した対照区と差がなかった。合成抑制効果が不充分であったことが影響した可能性が考えられた。 クルマエビの眼柄神経節には卵黄形成抑制効果を持つペプチドホルモンが6種類あることが確認されている。その内の二種類(SGP1とSGP7)の血中量を測定して個体ごとに相関を調べたところ、正の相関があることがわかった。両ペプチドは眼柄内の同じ神経細胞から合成・分泌されている可能性があり、分泌調節も同じように行われていることが示唆された。また、未熟雌エビの血中ホルモン量を6時間毎に測定したところ、SGP1,7ともに日内変動が見られなかった。未熟エビでは常に卵黄形成抑制ホルモンが分泌され、成熟を抑制していると考えられた。 以上の結果をもとに、24年度ではさらにホルモンの作用解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、23年度に卵黄形成抑制ホルモンの作用により発現が変動する遺伝子の同定に着手する予定であったが、23年度はホルモン測定に集中して遺伝子同定を24年度にまとめて実施することにした。そのため、研究計画の進行が一部遅れている。しかし、24年度にまとめて実施して遅れを取り戻すため、最終的には計画を達成できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度となる24年度は、当初計画通り、卵黄形成抑制ホルモンの作用により発現が変動する遺伝子の同定に集中して取り組む。実施に必要な準備を進めてきており、研究計画の変更や問題はない。また、これまでに得られた成果の公表に努める。
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