研究概要 |
1. これまでに収集してきた東シナ海産アカアマダイの生物情報に加えて,新たに標本を入手して成長,成熟について再検討を行った。本研究においては,特に,東シナ海の中でも海域によってアカアマダイの体長組成が異なることに着目して解析を行った。その結果,海域によって成熟個体の出現状況が若干異なることが明らかとなり,既往の知見において研究によって産卵期や産卵盛期が異なっていることがサンプリング海域の違いによるものであることが示唆された。東シナ海産アカアマダイの全体的な傾向としては,5月から12月が産卵期で9,10月および7月に産卵盛期であることが明らかとなった。また,雌雄それぞれの成長曲線を次のように推定した。雌:l(t)=375(1-EXP(-0.317(t+0.420)),雄:l(t)=520(1-EXP(-0.194(t+0.761)) 2. 東シナ海産アカアマダイの他に,日本周辺他海域のアカアマダイ標本を収集し,DNA多型分析を行った。その結果,東シナ海産と太平洋産,日本海産のアカアマダイが同一集団で構成されていることが明らかとなった。このことにより,東シナ海のアカアマダイの卵稚仔が海流によって太平洋や日本海に運ばれている可能性があり,一つの大きな集団としてアカアマダイの資源管理を行う必要があると考えられた。 3. アカアマダイに対する釣り針の選択性をもとに,比較分析からトロールに対する本種の底曳網に対する回避能力をサイズ選択性として評価する解析を実施して,大型個体が底曳網では漁獲されないことを明らかにした。
|