研究概要 |
1.これまでに収集してきた東シナ海産アカアマダイの生物情報に加えて,新たに標本を入手して月別の卵巣により,卵数,卵径を測定。また,薄片標本を作製し,組織観察を行った。さらに次年度に残りの月を補完することにより,アカアマダイの産卵様式やバッチ産卵数を明らかにする。これらにより,過去に大量の標本のGSIにより評価した成熟過程について今後詳細に検討を行い,前年度までの研究を補完する。 2、前年度に引き続き,アカアマダイの底曳網に対する回避能力をサイズ選択性として評価する解析を行った。既に学会発表済みで,論文として投稿準備中。 3.これまでの研究で得られた釣針の選択性とアカアマダイの生物学的情報を併せて,加入あたり漁獲量解析(YPR)および加入あたり産卵量解析(SPR)を行い,資源を持続的に利用しつつ安定的な漁業を維持するために必要な釣り針の大きさについて検討を行ってきた。これらについて学会発表及び論文投稿準備中。 4.東シナ海産アカアマダイの他に,キアマダイ,シロアマダイ,スミツキアマダイ,ハナアマダイの標本を収集するとともに,種不明のアマダイ類の標本を入手し,形態比較およびDNA解析を行った。その結果,アカアマダイとキアマダイ,アカアマダイとシロアマダイ,アカアマダイとスミツキァマダイの雑種の存在が明らかになった。資源解析を行う上では,種の混乱を避ける必要があり,今後,明確な種の判別方法を確立することが望まれる。これらについて,論文執筆準備中。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アカアマダイに対する延縄釣り針の選択性を用いて,加入あたり漁獲量(YPR)と産卵量(SPR)を推定した。また,釣針との比較解析によってトロールの網口回避による選択性を求めた。さらに,アカアマダイとキアマダイなど,複数種の交雑個体について,DNA分析によって明らかにした。このように,当初の目的をほぼ達成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間の研究において,目的はほぼ達成されつつあるものの,生殖腺標本を採集していない付きがあるので,最終年度である24年度にこれを採集し補完する。 これまでに日本周辺海域のアカアマダイのDNA分析によってこれらが同一集団であることが示唆されているが,分布の南限である台湾海域のものについて未着手であったため,24年度にこれを入手し解析する。 トロールの網口回避による選択性に続き,今後網目選択性を求めることにより,トロール漁具全体としての選択性を求める。
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