研究概要 |
クルマエビに,粗精製のrVP26, rVP28, BSAをそれぞれ0.1mg/g,精製NNV(神経壊死症ウイルス)を3.68μg/g,投与対照として大腸菌由来のタンパク質を0.072mg/g,非投与対照としてPBSを筋肉注射する区を設けた。初回投与から20日後に同様に追加投与を行う群と,初回と異なるタンパク質を投与する区を設けた。追加投与から10日後に採血を行い,WSSVおよびNNVの中和試験に供試し,15個体についてWSSVの筋肉注射による攻撃試験を行った。ほぼ同様の実験を2回行った。また,クルマエビへのウサギ赤血球の投与条件の検討を行った。 攻撃後のrVP26, rVP28,およびNNV投与区の累積死亡率はPBS投与区より有意に(P<0.01)低く,ワクチン有効率は,rVP26群では、rVP26+rVP26>PBS+rVP26>rVP26+rVP28の順に,rVP28群では,rVP28+rVP28>PBS+rVP28>rVP28+rVP26の順に高かった。2回目も1回目と同様rVP26およびrVP28区およびNNV区の累積死亡率はPBS区に比較して有意に低く,有効率は,rVP26群ではrVP26+rVP26>PBS+rVP26>rVP26+PBS>rVP26+rVP28の順に,rVP28群ではrVP28+rVP28>PBS+rVP28>rVP28+PBS>rVP28+rVP26の順に高い値を示し,免疫様現象の抗原特異性の存在を示唆した。 PBS区の血リンパ液はWSSVの中和が確認されなかったが(87%の累積死亡率),rVP28区では53%と有意に低下し,中和活性の存在を示唆した。一方,NNVの中和は確認されず,逆にNNVの感染が確認されたため,今後は不活化したNNVを投与する。当初の目的の各種抗原投与後の血リンパの回収を達成し,免疫様現象の因子探索に向けて進むことができた。
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