研究課題/領域番号 |
22580219
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
風藤 行紀 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所・養殖技術部, 研究員 (60399996)
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研究分担者 |
玄 浩一郎 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所・養殖技術部, 主任研究員 (80372051)
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キーワード | 水産学 / ウナギ / 生殖生理 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
本年度は、組換え生殖腺刺激ホルモン(GTH)を投与した後の体内濃度の経時的変動を調べるため、先ず2種GTH(FSHおよびLH)の酵素免疫測定法(ELISA)の確立を行った。平成22年度までに作製済みのウナギGTHの各サブユニットに対する特異抗体を用いて、ELISAの確立を試みたが、抗体の力価が低い等の理由で、十分な感度が得られなかった。そこで、新たにヒト腎臓293細胞で発現させたウナギGTHβ(FSHβおよびLHβ)鎖およびウサギ糖タンパクホルモンα鎖を連結した組換えキメラFSHおよびLHを家兎に免疫し、抗血清を得た。また、同様に作製したウナギβおよびウナギαを連結した組換えウナギGTH(reFSHおよびreLHを固定化したアフィニティーカラムにより、抗キメラGTH抗血清からウナギreGTHに対する特異IgGのみを精製した。得られたアフィニティー精製抗キメラGTH IgGを用いたところ、FSH、LH共に数十pg/ml-数ng/mlの範囲で測定可能なELISAが確立された。次にreFSH、reLHに加えreGTHのβおよびα鎖の間にタンパク質の生体内寿命に関与する糖鎖結合部位(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのC-末端配列:CTP)を挿入した改変reGTH(reFSH-CTPおよびreLH-CTP)の計4種類のreGTHを未熟雌ウナギに1mg/kg一体重で腹腔内投与した。投与後、経時的に採血を行い、各GTHの血中変動をELISAにより調べた。その結果、全てのreGTH投与群で、血中レベルは投与12-24時間後ピークに達し、漸減した。また、血中reGTH-hCTP量は対応するreGTHに比べ常に高く、生体内に長く残留した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画通り、平成23年度にウナギGTHの測定系が確立された。また、組換えホルモンを未熟ウナギに投与した後の体内での変動の解析は、平成23・平成24年かけて行う予定であったが、既に平成23年度で終了している。よって、当初の年次計画以上の速さで研究は進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
FSHおよびLHを未熟雌ウナギに対して、卵巣の発達が十分に認められるまで殺与する。催熟終了後、卵巣をサンプリングし、生殖腺体指数を算定すると共に、卵巣の一部に関してはブアン氏液で固定後、組織学的観察に供する。更に、卵巣における生殖関連遺伝子の発現変化の解析も行う。また、投与期間中に採血を行い、卵形成誘導ステロイド(E2)量の変化も解析する。
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