研究概要 |
平成23年度の計画では,オボアルプミンの精製技術を確立すること,およびスケトウダラのすり身等を用いた加熱ゲルにおいて検証すること,さらに,これまでの研究においてオボアルブミンは未変性のアルブミン(N-アルブミン)を用いて来たが,変性アルブミン(S-アルブミン)やアルブミンの誘導体である1-アルブミンについて,プロテアーゼインヒビターの効果について検証することであった。 実績として,平成23年度は,オボアルブミンの大量精製技術を確立した。具体的にはオボムチンフリー卵白を調製した後,硫酸アンモニウムで塩析させ,その後陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製を行った。従来は陽イオンおよび陰イオン両方のクロマトグラフィーを行わなければならなかった点を大幅に効率化させ,また塩析に用いた硫酸アンモニウム量についてもその最適量(21.5%)を確立した。以上の手法により得られたオボアルブミンの純度は,既存の精製法に基づいて得られたものに比較して遜色無かった。(シグマアルドリッチGrade7以上) また,オボアルブミンの精製度の確認として抗原抗体染色の技法を確立した。スケトウダラのすり身等を用いた加熱ゲルにおいて,オボアルブミンの効果を検証した結果,40,60および90℃のいずれの温度においても物性は低下したことから少なくともネイティブの状態ではオボアルブミンはインヒビターとして,あるいはゲル形成のプロモーターとして,魚肉ゲルへの影響は無いことが明らかになった。 以上,課題として変性アルブミン(S-アルブミン)やアルブミンの誘導体であるI-アルブミンについて,プロテアーゼインヒビターの効果について検証することが残された。今年度はこれらについて検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の当初計画ではオボアルブミンの精製技術を確立すること,スケトウダラのすり身等を用いた加熱ゲルにおいて検証すること,および変性アルブミン(S-アルブミン)やアルブミンの誘導体であるI-アルブミンについて,プロテアーゼインヒビターの効果について検証することであったが,「変性アルブミン(S-アルブミン)やアルブミンの誘導体であるI-アルブミンについて,プロテアーゼインヒビターの効果について検証すること」ついてできていないため。
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