研究課題
本研究では、リステリア菌Listeria monocytogenes(Lm)、その他の病原菌の感染性および病原性を抑制する因子(乳酸菌および成分)を水産食品中から探索し、水産食品の新たな機能性の解明と、食品衛生に資することを目的とし、腸管細胞を用いたin vitroおよびマウスを用いたin vivoの実験で、微生物学的、生化学的手法を用いた検討してきた。平成22年度は、水産発酵食品からの、酸耐性・胆汁耐性乳酸菌のスクリーニングと、病原菌の腸管上皮細胞Caco-2への付着および侵入に対する選抜乳酸菌および海藻抽出物の影響を検討した。その結果、耐酸性、耐胆汁性を持つLeuconostoc mesenteroides 1RM3株とマコンブ付着部(ガニアシ)抽出物が未分化およ分化Caco-2細胞へのリステリア菌およびサルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)の侵入を抑制することが確認された。本年度の上記の実験結果を踏まえ、1RM3およびガニアシ抽出物の、マウスへのLm感染に及ぼす抑制効果を検討した。飲料水に1RM3の生菌を9logCFU/ml加え投与した場合、脾臓へのLm感染が有意に抑制され、加熱死菌を投与したマウスでも抑制の傾向であった。また、ガニアシ5%食を投与したマウスでもLm感染が抑制される傾向で、感染による体重の減少も緩和された。これらの感染抑制能を示す1RM3やガニアシにLmに対する明確な抗菌性は認めらなかった。本年度の目的であるin vivoでの効果の確認は達成されたが、作用メカニズムについてさらに検討する必要があるために、平成24年度は1RM3およびガニアシ抽出物の免疫賦活作用および炎症抑制作用についてin vitroで検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度の目的であるin vivoでの効果の確認は達成されたが、作用メカニズムについてさらに検討する必要がある。
本年度の目的であるin vivoでの効果の確認は達成されたが、作用メカニズムについてさらに検討する必要があるために、平成24年度は1RM3およびガニアシ抽出物の免疫賦活作用および炎症抑制作用についてin vitroで検討を行う予定である。
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Anaerobe
巻: 18 ページ: 19-24
doi:10.1016/j.anaerobe.2011.11.006
LWT-Food Science and Technology
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