研究概要 |
本研究では分子細胞生物学的手法を用い、ヒラメ抗酸化酵素遺伝子の制御領域の解析並びに関連する転写因子を探索すること、次いでヒラメマクロファージの細胞培養系によって Edwardsiella tarda (E.tarda) 暴露に伴う酸化ストレスに対する抗酸化酵素の発現制御機構を明らかにすることを目的とした。 本年度は、ヒラメCu,Zn-SOD及びMn-SOD遺伝子の転写制御領域を明らかにした。ヒラメCu,Zn-SOD遺伝子の転写開始点より5’-上流1,200 bpの塩基配列中に、哺乳類Cu,Zn-SOD遺伝子の転写制御に関与するC/EBPα並びにNF-IL6の結合配列が各々確認されたので、これらの結合配列がヒラメCu,Zn-SOD遺伝子の発現制御部位であると推定した。また、ヒラメMn-SOD遺伝子の転写開始点より5’-上流300 bp付近までに哺乳類Mn-SOD遺伝子のプロモーター領域にはないTATAボックスやCCAATボックスの存在を確認した。 一方、病原因子の候補として同定されたE.tarda強毒株及び弱毒株の両flagellin遺伝子の全塩基配列を決定し、各々416アミノ酸と359アミノ酸に相当するORFを確認した。また、E.tarda両菌株由来flagellin全一次構造の相同性解析の結果、弱毒株のflagellin遺伝子の一部が欠損していることが明らかになった。更に、Salmonella typhimurium由来flagellinのドメイン構造との比較より、弱毒株由来flagellinの欠損領域はD2, D3ドメインに相当し、その欠損領域が強毒株の持つ病原性に関与していると推察した。
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