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2010 年度 実績報告書

ナラティヴアプローチによるパス依存型ネットワーク経営の世代間継続要件に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22580232
研究機関東北大学

研究代表者

長谷部 正  東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10125635)

研究分担者 小沢 亙  山形大学, 農学部, 教授 (70211141)
キーワード物語り(ナラティヴ) / パス依存 / ネットワーク経営 / 経営継承 / 農業経済学 / 農業経済倫理学 / 伝統芸能 / 風景
研究概要

本年度は,ナラティヴアプローチによるパス依存型経営継承の実証モデルを構築し,それを事例に適用することで妥当性を探ることが研究の目的である.理論枠組みは,主として野家啓一の物語り論を拡張した風景物語り(出来事を文脈の中に配置し時間的列に並べて共有できる物語りとしての風景を語る)を共同言語行為(皆で語る)として捉え,それを語り継ぐことによって皆のものになり,規範化することで個人の物語りを語り合い共通(組織)の物語りになるといった考え方を織り込んだ実証モデルを構築し,それを事例1:フィールド作業体験に起因する風景物語りの差異と,事例2:農村における祭りの持続に適用して妥当性を検証した.
事例1の想定として,(1)フィールド作業体験が異なると風景物語りも異なる,さらに(2)家族や地区の風景物語りは,共同行為として語られ,皆の物語り=歴史になる,この(1)と(2)より,(3)異なった風景物語り=歴史が語り継がれ,それを語る者同士は,アイデンティティを共有する.その物語りは,反復しつつ語り継ぐことを通して,皆の規範となり,その行動を規定するに至る(規範風景物語りの作成).その結果,「フィールド作業体験が異なる家族や地区では異なる規範風景物語りがあり,構成員の行動を規定する」といった仮説が導かれる.他方,事例2の場合,(1)パトス的(受動的・受苦的)行為の積み重ねが日常生活と異なり,祭りの時に多くの体験を共有する.(2)非日常的な体験を子供のときから体験し,また,親の物語りを聴き,語り継ぐことで祭りにおける食や芸能が継承(歴史として記憶)され,そして,(1)と(2)より,これらが伝統となるといった仮説が導かれた.
以上から,実証のポイントは「体験の共有→物語りの共有」であり,本モデルを適用することで次の点,(1)個人や組織の歴史,(2)それらのアイデンティティ,(3)それらの倫理,(4)組織間の差異の説明が(課題設定に応じて)明確になった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] パス依存型養豚経営の安定性に関する研究-ネットワーク型経営であるGPFを事例として-2011

    • 著者名/発表者名
      長谷部正・安江紘幸・伊藤房雄
    • 雑誌名

      農業経済研究報告

      巻: 42 ページ: 15-25

  • [雑誌論文] ネットワーク型農業経営組織の経営継承に関する一考察-グローバルピッグファーム(株)ニューリーダーの会を事例にして-2010

    • 著者名/発表者名
      安江紘幸・長谷部正・伊藤房雄
    • 雑誌名

      2010年度日本農業経済学会論文集

      ページ: 134-141

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域環境の評価をめぐる対立と共感に関する研究-地域で共有された環境観に配慮する能力としての共感-

    • 著者名/発表者名
      小山田晋
    • 雑誌名

      日本環境共生学会2010年度学術大会発表論文集

      ページ: 128-133

  • [学会発表] 地域環境の評価をめぐる対立と共感に関する研究-地域で共有された環境観に配慮する能力としての共感-2010

    • 著者名/発表者名
      小山田晋
    • 学会等名
      日本環境共生学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2010-09-26
  • [学会発表] ナラティヴ・アプローチによる実証分析に関する一考察2010

    • 著者名/発表者名
      長谷部正,安江紘幸
    • 学会等名
      東北農業経済学会
    • 発表場所
      山形大学鶴岡キャンパス
    • 年月日
      2010-08-28

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公開日: 2013-06-26  

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