研究課題/領域番号 |
22580235
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
伊丹 一浩 茨城大学, 農学部, 准教授 (50302592)
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キーワード | 19世紀 / 南フランス / 土地改良組合 / 堤防組合 / 灌漑組合 |
研究概要 |
1.1901年に実施された土地改良組合に関する全国調査の分析を行い、フランス1国レベルでの、土地改良組合の分布や動向について明らかにし、南フランスの特色や、主たる研究対象地のオート=ザルプ県の特徴を浮き彫りにした。 2.土地改良組合制度に関して、役員選挙や、公的収用、公益性の認定、行政による他組合との調整などの諸問題に関して、同時代に刊行された法律解説書や行政辞典、官報に収録されている議会議事録や法令集、判例集の分析などを行った。 3.オート=ザルプ県東部エグリエの2組合、県中北部オーブサーニュ』の1組合、県南西部ヴァンタヴォンの1組合を事例として、その実態や問題点について分析を行った。 4.これら諸分析の結果をも援用しながら、『堤防・灌瀧組合と参加の強制-19世紀フランス・オート=ザルプ県を中心に-』と題する学術書を、御茶の水書房から出版した。 5.さらに、土地改良組合制度の特徴を鮮明にするために、同じく、19世紀フランスにおいて、社会的に大きな問題として取り上げられていた荒廃した山岳地の復元・保全政策について分析に着手した。関連する各種マニュアルや林学書、農学書、農村、山村の実態に関する報告書の収集を進めるとともに、分析を行いつつある。 6.目仏の比較検討に向けて、明治期の耕地整理組合の制度と実態に関する分析の準備として、各種資料の収集を開始した。 7.これら諸分析に関連して、『環境・農業・食の歴史-生命系と経済-』と題する書籍を御茶の水書房から刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
19世紀フランス・オート=ザルプ県における土地改良組合の実態や性質について明らかにするとともに、類似する政策や問題として、荒廃山岳地の復元・保全に関わるものを取り上げ、その展開や動向についても、分析に着手している。加えて、関係する著書を2冊、刊行することができたため、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
19世紀フランスにおける土地改良組合制度の特徴を鮮明にするために、同じく、当時のフランスにおいて、社会的に大きな問題として取り上げられていた荒廃山岳地の復元・保全政策を対象に分析を、引き続き行う。オート=ザルプ県文書館のserie Pを中心とした史料調査や、現在、収集しつつある各種マニュアル、林学書、農学書、農村、山村の実態に関する報告書の解析により進めていく。 あわせて、既存の研究が分厚く存在する日本の耕地整理組合の制度や事例を、現在、収集しつつある資料を中心に、検討しつつ、フランスとの比較を通して、それぞれの特徴を鮮明にする作業を行う。
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