研究課題/領域番号 |
22580236
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
合田 素行 茨城大学, 農学部, 教授 (40134457)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
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キーワード | 国際比較 / 環境支払い |
研究概要 |
EUの環境支払いは、ドイツの例に見るように個別経営単位に対する支払いが原則であり、日本の農地・水・環境保全向上対策におけるような、地域の組織・団体に対するものと性格を大きくことにする。ところが今年度の調査対象国オランダでは、農業者が自発的に「環境協同組合」と呼ばれる組織を設立して、環境保全に取り組んできており、こうした地域の共同的な活動が、環境支払いで達成しうる以上の環境改善効果を得ることが期待されている。中心となっているのは景観の管理に対する補助金で、農業者はいくつかのプログラムがパッケージとなった契約を国と6年間結び、その活動に対して支払われる。組合の設立は、自発的で有りかつ多様な背景をもっており、市民、自然保護団体・政府との連携強化、'地域の問題に対する積極的な働きかけなどの活動を積極的におこなっている。さらに活動の資金面については、一般市民からの資金調達、たとえば地域の病院が患者のための散歩道整備のために、環境協同組合の組織と協同するといった例にも見られるように幅広く求め、地域にも認知されていると共に、環境の保全をこえて、新しい環境作りに取り組んでいる。 我が国における事例調査地、滋賀県琵琶湖西湖岸にある鴨川地域土地改良区では、17集落、1100haという広い面積の対象地区を有して、排水路の清掃、魚類保全、遊休地の活用など活発な環境保全活動を展開している。組織が巨大なのは、琵琶湖水の調節を行う水門管理の土地改良区が母体となっているためであり、したがってオランダの環境協同組合のような自発的な組織とは大きく組織の成因が異なっている。こうした組織が、持続的に環境支払いを受け止める活動団体として維持されるための条件を検討した。 他の類似組織とのネットワーク化、資金提供の可能性の探索などが求められよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
政策の比較が課題であるが、外国については、調査対象者の協力が容易に得られない。当初から予想されていたものでもあるが、それ以上であった。また我が国については、初年度は震災のために東北地域の調査を見送った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き比較政策研究を続けるが、我が国の調査を精力的に行いたい。また外国については国を絞って調査を進めたい。
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