今年度は主に下記2点について研究を行った。 1)動産担保融資の農業融資における位置づけの把握 農業融資の中で、動産担保融資がどの様に位置づけることができるかについて、主に国内の先行研究をサーベイした。また、秋田県、福岡県等における実態調査を通じて経営形態、経営作目、規模、地域など、動産担保を必要とする経営体の特質を探った。文献調査からは、動産担保融資を可能にする制度的な裏付け、農業融資以外の分野における動産担保融資の実態などの整理を行った。また、実態調査においては、青森県における果樹農家および農協を調査し、生産動向、資金需要、動産担保融資への意向等について調査を行った。ただし、当初予定していた大規模畜産農家へのヒヤリングが、口蹄疫の影響で実施できなかったため、十分な調査を実施できなかったが、この点は来年度以降に補完調査を行う予定である。 2)動産担保融資の実態の把握 22年度は金融機関1カ所を調査し、金融機関側における、動産担保融資の位置づけ、融資に対する姿勢、他の債権保全手段との関係、期中管理の実態、バックアップ体制、審査の実態等に関する情報を収集した。その結果、一部の地方銀行においては、大規模畜産向けに融資実績が徐々に増えていること、バックアップ体制の構築において課題を抱えていること等が明らかになった。
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